第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)にて岡本敏子賞を受賞した馬場敬一氏の受賞後初となる個展「傷の錬金術―神話世界をめぐる美学・心理学・AI批評―」がアートスペース「GALLABO TOKYO」(神奈川・川崎)にて2026年10月17日(土)から12月6日(日)まで開催される。
馬場氏は鬱を経て得た死生観を自我・髑髏(どくろ)・女神が現れる独自の神話世界に昇華させ、個の信仰が結実した無比の作品を発表してきた。その壮絶かつ崇高な輝きを放つ作品群は観客の胸を揺さぶり、川崎市岡本太郎美術館で開催されたTARO賞の企画展では来館者投票で最多の票を集め、オーディエンス賞をW受賞した。
今回の個展では、新作・近作を含む約25点が出展される。さらに、美学や心理学、AI批評をテーマに実施する計3回の対談、シンポジウムを通じて作品世界を掘り下げる。
圧倒的な鑑賞体験。「錬金術」により荘厳に輝く傷を負ったダンボール

初めて馬場氏の作品を目にする鑑賞者がまず驚くことに、圧倒的存在感を放つ作品の支持体がダンボールである点が挙げられる。これは馬場氏を代表する「RESIN 死と再生」シリーズで、2023年から発表されている。
身近なダンボールという素材が像を宿し、幾多の傷を負いながらも三次元の身体を得て、樹脂により固められ、生々しい輝きを放つ。さながら「錬金術」と言えるプロセスにより誕生した作品は、荘厳なモニュメントのような佇まいで観る者に迫り来る。TARO賞の展示では、幅5mに及ぶ大作《死と再生のイニシエーション》や、自我・髑髏・女神から成る《三位一体立体曼荼羅》を見上げて立ち尽くす観客が数多く見られた。


この度の個展では、高さ2.4mの大型新作《陰陽のピエタ》を含む近作約25点が出展される。また、《陰陽のピエタ》の制作工程を記録した映像作品も展示され、新たな制作手法への挑戦や半立体から立体へ移行するプロセスが公開される。作家自身が重視する鑑賞体験を通じて深淵な作品世界に身を浸し、岡本敏子賞受賞を経た馬場氏の現在地を目にすることができる機会は見逃せない。
負った傷を引き受け、繊細に屈強に再生を遂げる独自の創造のプロセスは、作家の人生哲学と直結している。創作活動における葛藤、最愛の母の死、鬱との苦闘、女神の出現と再生。馬場氏の半生と岡本敏子賞受賞に至る道のりは、2026年3月に実施したロングインタビューでたどることができる。
美学、心理学、AI批評をテーマに対談、シンポジウムが開催

本展のもう一つの見どころは、「美学」「心理学」「AI批評」という多岐にわたるテーマで実施予定の対談とシンポジウムだ。
対談企画では、10月17日(土)に美学会会長・秋庭史典氏、10月24日(土)に心理学者・川口潤氏が登壇し、作家と言葉を交わしながら美学、心理学的観点から作品を解剖していく。若き日からユング心理学に傾倒し、創造を通じて壮絶な鬱を乗り越えた馬場氏と登壇者の間にどのような対話が生まれるのか期待される。
また、11月14日(土)のシンポジウムでは、美学研究者・森功次氏、認知科学者・川合伸幸氏、人工生命研究者・有田隆也氏が登壇し、作家とAI批評の可能性をテーマに議論する。さらに来場者やAIも巻き込み、作品、作家、鑑賞者、AIが相互に働きかける新しい展覧会形式が実践される。来場者にはLLMによる批評、メタ批評などを含む「AI批評資料」が限定配布されるという(イベントは全て参加無料、要予約)。
会場となる「GALLABO TOKYO」は2026年に神奈川県川崎市に誕生したばかりのアートスペース。シンポジウムにも登壇する人工生命研究者・有田隆也氏がクリエイティブリードを務め、作家、鑑賞者、AIがエコロジカルに相互作用する実験場として多彩な企画を展開している。馬場氏の世界を堪能するとともに、本展でしか得られない発見を探しに足を運んではいかがだろう。
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ステートメント



展覧会情報
| 馬場敬一展「傷の錬金術 ─神話世界をめぐる美学・心理学・AI批評─」 会期:2026年10月17日(土) ~ 12月6日(日) ※木・金・土・日のみ開廊 時間:13:00~18:00 会場:GALLABO TOKYO(ギャラボ・トウキョウ) 〒212-0052 神奈川県川崎市幸区古市場2-121-21 料金: 入場無料(配布資料付)。関連イベントも参加無料。イベントはWebサイトから要予約。 Webサイト: https://www.gallabotokyo.com/exhibitions/04-alchemy/ |
作家プロフィール

イベント情報・登壇者プロフィール
| 対談1:「傷ついた絵は、なお幸福か」 秋庭史典(美学会会長) × 馬場敬一 2026年10月17日(土)15:00-16:30 |

| 対談2:「消えない記憶は、なお輝くか」 川口潤(認知心理学) × 馬場敬一 2026年10月24日(土)15:00-16:30 |

| シンポジウム:「AI批評は作品に何を起こすのか」 森功次(美学) × 川合伸幸(認知科学) × 有田隆也(人工生命) × 馬場敬一 2026年11月14日(土)15:00-16:30 |



※イベントは全て参加無料、予約フォームから要登録
馬場敬一展「傷の錬金術」イベント予約管理ページ:
https://www.gallabotokyo.com/home/reserve-1/
