アートと下町が調和する街、上野に建つ「ホテルリソル上野」のリビングロビーにあるギャラリー「Resol Gallery Ueno」にて、新進作家・石田晃氏による作品の特設展示が12月31日(水)まで開催中だ。
2020年に開業した「ホテルリソル上野」のコンセプトは、「創造するホテル」。美術館、劇場、動物園など多くの文化施設がある山手地域と、情緒あふれる商店街や飲食店が広がる下町が共存する上野に根ざし、人々が文化と触れ合える空間を提供してきた。ラウンジロビー、客室、ギャラリーなど建物内の随所にアート、デザインが取り入れられ、訪問者はアートに接しながらくつろぐことができる。

ホテルリソル上野

新進気鋭から熟練の作家まで多彩な展示。宿泊者以外も鑑賞可能

リビングロビー

ホテル内のギャラリー「Resol Gallery Ueno」では、特設展示と常設展示を隔月で交互に実施している。訪れる人々と現代作家の作品の出会いを創出する場となるよう、2024年2月から特設展示を開始した。以来、新進気鋭の作家から長年アートシーンで活動する作家まで幅広い層が、油絵や版画など多彩なジャンルの作品を出展してきた。
人々が気軽にアートに触れる場として、宿泊者はもちろん、立ち寄る人々も無料で鑑賞できる空間として開かれている。

絵画制作は2019年から。色彩に富み、独自視点が光る石田晃の世界

現在特別展示されているのは石田晃(1956〜)の作品だ。石田氏は上智大学フランス文学科を卒業後、広告のクリエイティブ・ディレクターとして活躍し、2019年から絵画制作を開始した。本展では、作家自身の経験や、旅先で心に留まった情景を描いた作品が出展されている。岡本太郎の作品の前で佇む少年、唇から生まれ出そうな目玉、水面から顔を出す雫のような亀、方向感覚が遠のく綾瀬川と首都高が織りなす風景など、独自の視点が光る世界が色彩豊かに表現されている。
石田氏は、作品に次のようなコメントを寄せている。

《疵付く事しか能のない若造が、岡本太郎をみる》2025 キャンバスアクリル 20号P

(作家コメント)
右側の「腸内のビフィズス菌たち」みたいな作品の前で、じっと動かない青年がいました。
その青年は、左側の「躍動する未知との遭遇型エイリアン」みたいな作品に移動し、ロンドンの衛兵のように、さらに動かなくなりました。
彼のような青年が、岡本太郎さんの作品を鑑賞するのに、最もふさわしい人なんだろうなぁ。太郎さんの、湧出するエネルギーよりも、柔らかい痛々しさを感じられそうな人。

《もの言う目》2025 キャンバスアクリル 1号S

(作家コメント)
まさに、目は口ほどにものを言います、よね。

《おっさん、まだ生きとったんか、分かるかい、オレだよ》2025 キャンバスアクリル 25号P

(作家コメント)
文京区、後楽園の池を見ていたら、カメに話しかけられました。
僕には、それが誰なのか、すぐにわかりました。

《加平夕景、北へ続く道》2024 キャンバスアクリル 15号P

(作家コメント)
加平インターチェンジから、北に視線を向けました。綾瀬川に沿って、首都高が真っすぐ北に延びています。
何もかもが暖かいオレンジ色に染まっているのに、妙に寒々した風景でした。
ちょっと寂しくなりました。

アートに触れ、感性を解きほぐす空間へ

「ホテルリソル上野」はJR上野駅から徒歩1分という好立地。建物内は植物が随所に配置された穏やかな空間が広がり、リビングロビーでは歓談したり、読書に集中したり、アートに向き合ったりと気の向くままに過ごすことができる。客室に入るとウェルカムアロマの芳醇な香りに迎えられ、シューズオフスタイルでリラックスした滞在を叶えられる。
表現者が感性を解きほぐし、深い創造の領域に至る上で、環境はとても大切だ。上野を散歩がてらアート鑑賞に訪れるのも、宿泊して心ゆくまで創造の源泉に向き合うのも有意義だ。自身に合うスタイルで、「創造するホテル」を堪能してはいかがだろう。

展示情報

会期:2025年12月1日(月)~12月31日(水)
会場:「ホテルリソル上野」リビングロビー内 アートギャラリー「Resol Gallery Ueno」
出展作家:石田 晃氏
入場料:無料 ※宿泊者以外も入館、鑑賞可能。
開館時間:【宿泊者】24時間鑑賞可能【宿泊者以外の方】10時~20時
公式Webサイト: https://www.resol-hotel.jp/ueno/

石田 晃
1956年、東京生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒業後、TV-CMをはじめ、広告のクリエイティブ・ディレクターとして活動。2019年より絵画制作を開始。

関連記事

  • Recommend
TOP