2022年9月に死去した映画監督ジャン=リュック・ゴダール(1930〜2022)の遺作『シナリオ』が、9 月 5 日(金)より Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シモキタ-エキマエ-シネマ K2、Stranger ほか全国の劇場にて上映開始する。

『シナリオ』劇場上映情報はこちら

『シナリオ』は、2024 年の第 77 回カンヌ国際映画祭でのワールドプレミアを皮切りに、第 49 回トロント国際映画祭、第 37 回東京国際映画祭でも上映された作品。同年日本でも公開された『ジャン゠リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』の後に完成した真の遺作で、ゴダールが自ら選んだ死の前日に撮影された映像も収められている。

本作は、『シナリオ』本編と『シナリオ:予告篇の構想』として制作段階の様子を編成した二部構成となっている。前半では手製のイメージボードが映し出され、自作を含め、戦争、音楽、自然といった多彩な映像がコラージュされており、最後の長編『イメージの本』に続くアプローチが見られる。『シナリオ:予告篇の構想』では、ゴダールが制作ノートを通じてどのように映画を創造してきたか、彼を支える人間の視点から見つめることができる。
本作に寄せて、黒沢 清氏(映画監督)、甲斐 さやか氏(映画監督)、佐々木 敦氏(批評家)がコメントを発表した。

凄まじい映画だった。全世界、全歴史、そして全映画と深くコミットしながらも、最後は”それは私である”と高らかに宣言され、圧倒される。これぞ監督主演映画の最高の到達点。
黒沢 清(映画監督)

© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead

チューブからそのまま絵の具を絞り出したような鮮烈な画が続き、自分の中のプリミティブなものが覚める。『シナリオ』は映画的想像力の核心であり、圧倒的な生の自由。
甲斐 さやか(映画監督)

© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead
© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead

ある意味でゴダールは最初から最後まで、ひたすら「遺作」を撮り続けた映画作家だったと言えるかもしれない。だが、これが本当の彼の最後の映画である。真の遺作が『シナリオ』と題されていることの意味を、今こそ私たちは考えなくてはならない。
佐々木 敦(批評家)

© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead

鑑賞者特典・オリジナルグッズ販売あり
9月5日(金)の公開日より全国の上映劇場にて、鑑賞者に本作のメインビジュアルのポストカードが先着順でプレゼントされるという。また、ゴダールの制作ノートより抜粋したイメージがプリントされたオフィシャル T シャツとトートバッグが販売される。

© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead

なお、本作は「映画を消費される一過性のコンテンツではなく、文化資産として保有できる」という理念のもと、新しい映像プラットフォーム「Roadstead(ロードステッド)」にて独占販売中。購入者には特典として、ゴダールが未完の長篇『Scénario』(本作は Scénarios)のために制作した 5 冊のノートのレプリカが、特別仕様のボックスに収めて届けられる。

『シナリオ』を、ゴダール最後の長編『イメージの本』、「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展」(8月末終了)と併せて探求した記事はこちらから。記事では、撮影監督として晩年のゴダールを支えたファブリス・アラーニョ氏と黒沢清氏による先行上映会での対談も紹介している。
ゴダール『イメージの本』への応答。映画、戦争、創造の思索に触れ、真の遺作『シナリオ』へ

『シナリオ』先行上映会にて ファブリス・アラーニョ氏と黒沢清氏

ゴダールが最後の遺作として残した『シナリオ』。ぜひスクリーンで鑑賞し、作品に込められた思想や、そこから浮かび上がる作家像に思いめぐらせてみてはいかがだろう。

© Écran noir productions – Arte France – Nekojarashi/Roadstead

作品情報


Introduction
「そのふたつのシナリオを完成させて、自分の映画人生、映画監督人生を終わりにする。そして映画に別
れを告げる」(2021 年 3 月「ケララ国際映画祭」ビデオインタビューより)。
2022 年 9 月、ジャン=リュック・ゴダール監督は居住していたスイスで安楽死によって亡くなった。
本作は、その前日に撮影された彼の本当の遺作である。コラージュ技法による 18 分の本編『シナリオ』(原題:Scénarios)と、ゴダール自身が制作ビジョンを語るドキュメンタリー映像『シナリオ:予告篇の構想』(原題:Exposé du film annonce du film “Scénario”)の二部で一つの作品として構成されている。時代を超えた美学と革新的な映像表現を追求し続けた巨匠が、映画と私たちに贈る最後のメッセージとは————。

『シナリオ』Scénarios
監督・脚本・編集:ジャン゠リュック・ゴダール
撮影:ファブリス・アラーニョ
製作主任:ジャン゠ポール・バタジア
製作助手:オーレリアン・プティ、リゾン・ドゥート
『シナリオ:予告篇の構想』Exposé du film annonce du film “Scénario”
監督・脚本・編集:ジャン゠リュック・ゴダール
共同執筆:ジャン゠ポール・バタジア、ファブリス・アラーニョ
助言:ニコル・ブルネーズ
撮影:ファブリス・アラーニョ
製作主任:ジャン゠ポール・バタジア
製作助手:オーレリアン・プティ、リゾン・ドゥート
プロデューサー:ミトラ・ファラハニ、ファブリス・ピュショー、川村岬
アソシエイト・プロデューサー:槻舘南菜子
字幕翻訳:手束紀子
翻訳監修:堀潤之
製作:Écran noir productions、Arte France、ねこじゃらし/Roadstead
配給:ねこじゃらし
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、在日スイス大使館
2024 年|フランス/日本|54 分|カラー|フランス語|日本語字幕
公式サイト:https://roadstead.io/scenarios
公式 X:https://x.com/jlg_scenarios/


関連記事

  • Recommend
TOP